
人は身体は柔らかく脆く生まれくる。
死体は、堅くてこわばっている。
草木が生きているときは、水々しく、柔軟で
枯れ死ねば、乾き固くなる。
それ故に、堅く柔軟性に欠ける者は、
死に属す。
柔らかくしなやかな者は、
生に属す。
しかるして、固く強張るものは、砕ける。
柔らかく、しなやかなものは打ち勝つことができる。
老子「道徳経」第七十六章
太極拳は、陰の武術と言われ、道教の哲学をバックボーンとしていますが、この老子の詩はまさにその極意を表現すると同時に、柔軟な体でいることがいかに健康と結びついているかが言い表されています。
陰の示すところは、地球であり、柔軟さであり、重さであり、内面的なものです。太極拳は、この陰の特性を以って、陽(物理的、気質的に生まれる力)を包み込み、力を吸収してしまう、まるでブラックホールのような特性を持っています。