
日本人にも馴染み深い、小麦食品。僕らの食生活から今や切り離すことのできない、パンや、パスタ、クッキー、ケーキなどなど。近年、小麦に含まれる「グルテン」に注目が集まり、さまざまな病を引き起こしていると言われている。
ちなみに、アメリカでは、一人頭、年間で約60キロの小麦粉を消費する。日本ではその約半分の一人32キロとかなりの量。
今日は、前回の卵に引き続き、日本人にとっては今や、主食として「ご飯」と存在感を二分するパンや、パスタの原料である「小麦」を二部に分けてツッコんでみようと思う。
同内容のおしゃべりバージョン、僕がカリフォルニア州立大学病院の看護師 柿沼ゆかさんと話した、美味しい!ホリスティック!ポッドキャスト「小麦1」はこちら
本物の小麦の歴史
昔、アメリカの大統領候補となった、ヒラリー・クリントンが「一般人の多くが遺伝子組み換えを、食物をフランケン・シュタインのように継ぎはぎにすることだと思っているから、この考えを正していかなければならない」と言っていた。小麦は現時点で、市販向けには遺伝子組み換えは行われていないのだが、果たして小麦は本当に安全だろうか。

小麦の歴史は、なんと紀元前8500年まで遡ることができる。当時、中東のヨルダン川と死海の両岸にかけて広がったナトゥーフ文化に存在し、地域に生息していた狩猟採集民族が、現在の小麦の原型である「エインコーン」を収穫していた。ちなみにこのエインコーンは、遺伝子的に最もシンプルで14の染色体しか持たない。
その後、自然交配で、エインコーンが、自然の雑草であるゴートグラス(Aegilops speltoidesクサビコムギ)と交配し、エマー小麦が生まれ、主に中東で食される。エインコーンが持つ14の染色体に、このゴートグラスの染色体14が合わさり、さらに複雑な28染色体となる。
モーゼスだとかの言っている小麦はおそらくエマーコムギであろうし、エジプトでもそれは愛用された記録がある。紀元前3000年くらいの壁画などにも、パン製造のレシピらしき壁画があり、エマーコムギが人力で引かれている様子が描かれている。

その後、28の染色体を持つエマー小麦が他の草と自然交配し、42の染色体を持つTriticum aestivum(トライティカル・エスティバム)となった。これが遺伝子的に現在私たちが呼んでいる「小麦」に近い。この、小麦は、3つの植物が持つ42の染色体を併せ持つ最も遺伝子的に複雑なものである。
ここまでは、自然交配であり、この小麦がその後何千年も変わらず食された。17世紀の小麦は、18世紀、19世紀、20世期前半までほぼ変わらずに世界で食された。
小麦こそ本物のフランケン・シュタインであるという事実

1900年代の後半あたりから、小麦が人の手に渡りいじくりまわされ始めた。その最も大きな原因は、1950年からメキシコを拠点にしているInternational Maize and Wheat Improvement Center (IMWIC)によって始まった「グリーン・レボルーション」だ。グリーンリボルーションの父と言われている植物病理学者ノーマン・ボーラウグは、この組織で働いており、このグリーンレボルーションでの新種小人小麦での交配の功績で、「10億人の飢餓を救った」としてノーベル平和賞を受賞している。
ちなみに、この活動の資本は、ロッカフェラー、フォードなどが大きく絡んでおり、世界の飢餓を救うことをスローガンとしていた。(近年の遺伝子組み換えと同様な背景だ)
この活動を通して、semi-dwarf wheat, dwarf what, (小人小麦)という新種の、本来の種より丈の短い小麦が生まれ、現在の工場生産型農業のスタイルの原型を作った。また同時に、農薬依存型の農業形態が、農業化学薬品会社の繁殖活動を助長することにもつながったと見る環境学者や、農業学者も多い。

ちなみに、この背丈の低い小麦は、当時日本でも稲塚権次郎によって開発されており、その日本版小人小麦遺伝子とアメリカ版を掛け合わせたものが、dwarf-wheatである。(高さ60−110センチ。)
この「小人小麦」で背丈が短くなることによって、植物のエネルギーがより種の生成に使われ産出量が増加したが、これをきっかけに交配に関しては、動物実験や、人体実験が義務付けられていないので、自由に行うことができることから、商業的に有利な方向で何千回にも渡る交配が小麦に対して行われてきた。そして、現時点でも継続して行われている。
問題は、これまでにこの交配に次ぐ交配で、遺伝子的に本来の「小麦」とかけ離れた植物に関して何の実験も行われていないということである。

ちなみに、世界の99%の小麦がこの小人小麦である。現在何と小麦の種類は、25000以上もありこれらは全て人工的なものだ。
現実、これまでの研究報告によると「同種の掛け合わせである『交配』は、常に安全である」という推測が間違っているということを予測させる。例えば、この交配の重ねられた小麦のタンパク質は、その5%が新たに出現したもので、ことにグルテンに関しては、その構成が大きく変化していることが確認されている。また、一つの交配実験においては、親の種になかった14のグルテンタンパク質が子のグルテンに発見されているほか、現代の一般小麦(Triticum aestivum)は、約100年前のものに比較して、セリアク病と関連が深いとされるグルテンタンパク質を多く持っていることが見つかっている。
このグリーンレボリューションにおいて現在でも無限に行われる交配は、収穫量の増加、茎が倒れないようにする、間伐でも育つ、高温でも育つ、腐らないようにする、など収穫量増大のみを目的にしている。
この人口の交配に次ぐ交配で、継ぎはぎの食物がいまだに「小麦」と呼べるだろうか?本当にフランケンシュタイン化された小麦(らしき穀物)、普段口にしているパンや、うどん、その他の小麦製品が、実際どのような影響を僕らに与えているのか?
それを次回に見ていきたいと思う。
続く
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