小麦は悪か⓶

前回では、小麦が20世紀後半あたりから、量産利益目的とし、無限に行われている交配の事実を書いてみた。今回は、その交配に次ぐ交配が、小麦の姿を変えてしまい僕らに悪影響を与えている事実を見てみる。

同内容のおしゃべりバージョン、僕がカリフォルニア州立大学病院の看護師 柿沼ゆかさんと話した、美味しい!ホリスティック!ポッドキャスト「小麦2」はこちら

小麦が人間に与えている悪影響

小麦が人間に与えている悪影響の代表的なものが3つある。セリアック病、糖尿病、そして脳神経系疾患だ。それらを一つ一つ見てみよう。

セリアク病

セリアク病は、簡単に言うと小麦のある種のグルテン(中でもグルテンを構成するグリアジン)を免疫が敵と認識して攻撃し、腸の粘膜を傷つけてしまう自己免疫疾患の一種である。下痢、腹痛、食欲不振、腹部膨満 などの症状が慢性的に続き、栄養が吸収できなくなることから、疲労、栄養失調などにもなる。20年前には全世界で2500人に1人の稀な病であったのに対し、現在では130人に1人と激増している。日本は、他国に比較して0.5%とまだ少ないが、近年セリアク病患者は増えてきている。

セリアック病の前身として、グルテン食品によって消化機能に不調が起こるグルテン不耐症、神経系、ストレスなどからくる、腸過敏性症候群などがあり、これらの症状を持つ人が実はセリアク病であったということがよくある。

糖尿病

小麦製品の代表格と言える精製されたパンは、砂糖よりも血糖値を急激に上げる。グルコース(ブドウ糖)を100として、炭水化物が食後にどれだけ血糖値を上げるかの相対値を表すGI(glacemic Index)という値があるが、白いパンはその値が70-80と砂糖の60-70よりも高いのである。急激に血糖値が上がると、その糖を細胞に送るために大量のインシュリンを必要とするため、膵臓の負担が大きくなりそれが続くと膵臓の負担が大きくなるばかりか、インシュリン量が次第に減り、血中に糖が溜まり血糖値がどんどん上がっていく。これが、糖尿病の原因と言われる所以だ。

また、ここでもグルテンがどうやら悪さをしているらしく、グルテンは、ペプシンと胃の中の塩酸によってポリペプチドに分解される。このポリペプチドが、blood-brain-barrier(血管脳関門)を通過できるというまれな特徴を持っている。血管脳関門は、血液中から不必要、または、脳にとって有害な物質が入り込まないようにする関門だが、このグルテンから発生するペプチドはこの関門を突破し、脳のモルヒネ・受容体と結合し、モルヒネ効果=ハイをもたらすことがわかっている。要するにパンが、ドラッグのような中毒性をもたらす(精神的にやめられなくなる)可能性があるということだ。

脳神経系疾患

アメリカの精神科医F. カーティス・ドーハンは、第二次世界大戦中にフィンランド、ノルウェー、スウェーデン、カナダ、アメリカ合衆国の男女が、食糧不足でパンが手に入らなくなった際、統合失調症の入院が減少し、戦後に小麦の消費が再開されると入院が増加したことに気づき、その後小麦と統合失調症の関連性を調査し始めた。

ドーハン医師は、ニューギニアの狩猟採集時代の文化においても同様のパターンを観察した。西洋の影響が導入される前、統合失調症はほとんど知られておらず、65,000人の住民のうち2人しか診断されていなかった。西洋の食習慣がニューギニアの住民に浸透し、小麦製品、大麦から作られたビール、トウモロコシが導入されると、ドーハン博士は統合失調症の発症率が65倍に急増するのを目の当たりにした。

また、前述したグルテンが胃のなかで分解されたプリペプチドが血管脳関門を通過してしまい、モルヒネ効果を起こしてしまうことを発見したクリステン・ジオウドロウ博士は、それを「gluteomorphin(グルテオモルヒネ)」と名付けたが、同時にこのグルテオモルヒネが多くの多動症、自閉症の原因になっていることを示唆している。

以上、グルテンに関連している代表的な病症を3つ挙げたが、腸が食物の栄養を分解吸収し、脳とも密接に関連していることから、腸に異常をきたすグルテンが体のさまざまな異常の原因となっていることは容易に想像できる。

僕自身も、バゲット、クロワッサン、ペイストリーは大好きで、食生活から完全に抜いてしまうことは非常に精神的負担が大きいので、その質などに注意しながら食べている。だが、腸過敏性症候群を過去に経験したこともあって、胃腸の症状が少しでも出てきた時には極力小麦製品は避ける努力をしているのも事実だ。

長くなったが、これで「小麦」に関する分析は終了します。これらの情報を鑑みて、今後小麦とどのように付き合うべきか決断するのは、もちろんあなた自身です。

なお、このシリーズの内容の多くは、Davis MD, William. Wheat Belly: Lose the Wheat, Lose the Weight, and Find Your Path Back to Health を参考にしました。

僕は英語で読みましたが、日本語版もあるようなので、興味のある方はこのAmazonのリンクでお求めください。なお、誤翻訳された本の題名「小麦は食べるな」から、一方的に反小麦を啓蒙するような内容を想像される方もいると思いますが、小麦の歴史、さまざまな研究などを網羅し、小麦が人間における影響を導き出した読み応えのある内容です

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