太極拳の動きの中には、一つの分解した動きを繰り返し行うことで気功のような効果が得られ、大変気持ちよくまるで昇天するような気分になれるものがいくつもあります。ですので皆さんが時間のある時に簡単にできるそのような太極拳の動きをいくつか紹介するためにビデオを作ってみました。
「雲手」
はそんな中でも簡単に太極拳の気持ちよさが感じられる動きの代表格です。

雲手は腕を交互にくるくる回しながら横に進む動きで、まるで、雲が流れるのを彷彿とさせるので、「雲手」という名前がついています。太極拳に興味のある人なら誰でも見たことのある太極拳らしい動きです。
腕を回す動作に加えて、雲手は、股関節(クワ)を手の動きに連動させて開閉する、体重を上下させるなどを意識すると、気が体内を上下左右に流れるのが感じられとても気持ち良くなることができます。
僕は太極拳をかれこれ20年以上やっていますが先生ではありません。ニューヨークの道場で子供に教えたことがありますが、教えるにはそれなりのスキルが必要です。太極拳のフォームを正式にお教えすることはしませんが、人間のポテンシャルを最大限に引き出す材料手段としてシェアーはします。
ビデオの補足として簡単に動きとその意味の説明を以下していきます。

YouTube ビデオ:02:32 ~
「雲手」の動きを分解してお見せしています。まずは、左手の動き。肩の力を抜き(肩甲骨を下ろす感じ)胸の高さに腕を曲げ、手のひらは体からつかづ離れずといった距離で内側に向け、ゆっくりと体の中心から外に出します。そして手のひらを下に向け、ゆっくりと下に向けて下ろし、丹田の高さあたりで、今度は体の中心に戻り、丹田のところに来たら最初の胸の位置まで戻る。これの繰り返しです。
気をつけたい点をいくつか挙げます
- ひじは決して伸ばし切らずに軽く曲げておく
- 手指を閉じずに、軽く開けておく
- 肩の力を落とす(肩甲骨を沈める感じにすると自然に腕が上がる)
この雲手には、太極拳の基本的な四つの動きを含んでいます。この動きをすることで、太極拳の力の動かし方の基本を感じることができます。その四つとは、
- Peng(掤) – 丹田から上に上がるとき
- Lu(履):胸から外に向かうとき
- Ji(擠) :外から丹田に向かうとき
- An(按):上から下に下りるとき
となります。
02:50 ~
左手も右手と同様に行います。

03:25 ~
左右の手の動きを合わせて行います。タイミングは見ていただくのが一番わかりやすいと思いますが、
両手が体の中心線で上下で出会います。片方の手が下りる時に、もう片方の手が上がります。これを、左右交互に行います。

04:50 ~
膝を軽く曲げて低すぎず、膝に負担のかからない広さに足を広げます。頭のてっぺん(百会)が空からロープで吊るされているような感覚で、頭を固定して体重を下に下に足の方へと落とします。肩甲骨を沈めるように肩をリラックスさせます。2、3分かけてこの準備を行うと良いでしょう。
準備が整ったら、股関節(クワ)を開閉させることを意識しながら水平に左右の動きを強調し、先ほどと同様両手を旋回させます。

06:25 ~
次段階では、水平左右の動きに足にある重みを上に上げるような感覚で、左右の足に移り動くのを意識しながら行います。水平方向だった動きに、縦方向の動きが加わる感じになりますが、無理に体を縦に動かす必要はありません。
右足にある重みがリリースされて、対角線上に左上に上がり左足に移ります。同様に、左足にある重みがリリースされて、対角線上に右上に上がり右足に移ります。

08:05 ~
ここでは、太極拳の型の中で実際に雲手がどのように含まれているかをお見せしています。これは、やってみたい方は、もちろんやっていただいて構いませんが、雲手の効果はステップを入れなくても十分に満喫できます。
氣は、柔らかく柔軟なところを流れます。体の力は抜きますが、骨格は崩さず背筋を伸ばし、肩の力を抜くことが重要です。(体を本当の意味でリラックスさせる、力を抜くというのはこれまたディープな話です。こちらはまた近々ビデオにしてみたいと思います)
また、下半身と上半身にくまなく氣が流れるには、股関節(クワ)の柔軟さが欠かせません。クワに柔軟性を与え周辺を強くするエキササイズも以前に紹介していますので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。
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